アーカイブス
エッセー
essay1   essay2   essay3   essay4
    初心に戻って     (2003)
   昨年12月下旬に行われた全日本選手権で2年連続4度目の優勝を手にした。僕にとって初めての連覇だ。決勝の相手は、前回まで5年連続で決勝進出の偉関晴光選手を下した木方慎之介選手だった。それまで練習試合も含めて昨年1度も勝てなくて、苦手なタイプの一人だった。でも、彼は硬くなっていて、いつもの精神状態とは違っていた。実力的には五分五分だけど、日本一を決める特別な試合で経験の差が出て勝たせてもらった。
 うまく調整ができて、体調もよかった。新しい技には挑戦しなかった。今回は、自分が持っているもの、正確性とか、クォリティーとかを完ぺきに近づけようとした。集中力を維持し、基本的な部分で簡単なミスをしないなど初心に戻った練習で臨んだ。
 僕は優勝するしかない立場にある。優勝しないことには周りはプロとして認めてくれないだろうし、2位で終わってしまえば「松下はもうダメだ」と言われてしまう。「優勝」してこそ存在を証明できると感じている。
 昨年は数多くの試合に出場した。あっという間に終わった1年だった。釜山アジア大会は好成績が残せず残念だった。今年は自分が懸けている試合に絞って出場しようと思う。前半はアジア選手権、世界選手権に向けて照準を合わせたい。
 10年前に日本選手のプロ第1号になった。少しでも日本のスポーツの中で卓球のステータスを上げたかったし、若い選手の指針になればいいと思っていた。今も気持ちは変わらない。
 僕もいつかはラケットを置く日がやってくる。それまでに、世界チャンピオンを誕生させるシステムやプロが育つ環境づくりの手伝いができればいいと思っている。それには、いろいろな方の協力が必要だし、やらなくてはならないことがたくさんある。
 
Archives TOP   essay1   essay2   essay3   essay4